拝啓 あの頃の自分へ
秋 やっとこの職場から離れられると幸せに満ちていた秋。
寿退社だから誰にも文句は言われない。
むしろ祝福されたくらい。
初めて慣れ親しんだ土地から離れ、県外で生活を始めましたね。
コロナ禍で就職難とは言われているものの、どこか自分だけは大丈夫だという自信がありました。
寒い冬を超えて、桜が咲く季節となりました。
貴方はまだ無職です。
あの頃は予想もしていなかった未来ですね(笑)
1月に引っ越して転職活動に勤しんで、遅くても3月には新しい職場で奮闘していると思っていました。
今日は3月31日。
私は無職です。
明日から4月。新年度。新学期。進級。新社会人。
期待に胸を踊らせ、キラキラ眩しい生活が始まる頃、貴方は無職です。
みんなが次のステップへ踏み出している中、未だに毎日求人情報とにらめっこしております。
ストレスで頭がどうにかなりそうです。
11月の頭に退職してからあっという間に5ヶ月が経ってしまいました。
この働いていない5ヶ月間が私にもたらしたものは働くということに対しての漠然とした不安。
仕事をしていない期間が長すぎて、自分がどうやって社会の中で立ち回っていたのか分からなくなってしまいました。
そしてそれは自信の喪失に繋がり、低い自己肯定感が更に低くなり、何もやる気が起きない状態になりつつあります。
自分はこの世の中に必要とされていないのではないか。
就職できたとしても上手く働けないのではないか。
私って本当に何をやってもだめな子。
そんな根拠のない思いばかり浮かんできます。
自分の精神状態が悪いと他者を羨みがちになります。
地元に帰ってきて友達と遊ぶ旦那が羨ましくあり、ズルく感じる。
趣味があって生き生きとしている旧友が疎ましく感じる。
結婚してもちゃんと正社員として働いている人が羨ましく思う。
嫌な感情が自分を覆い尽くしてしまい、そんなことを思ってしまう自分自身に辟易し、苦しみます。
誰も悪くないのに羨ましい感情が嫉妬へ変わる。
人間の感情は複雑で扱いづらいと、人間ながら思います。
さて、拝啓あの頃の自分。
貴方があの頃描いていたような未来ではありませんが、私は生きなければなりません。
毎日心臓が押しつぶされそうになったり、不安で泣きたくなったり、自分で自分の感情がコントロールできなくなりますが、それでも生きなければなりません。
数年前までは、死にたい死にたいと嘆いてばかりいましたが、今はそうはいきません。
私一人だけの問題ではなくなってしまったからです。
私が死ねば旦那はひとりぼっちになってしまいます。
あのぷよぷよのお腹をつまむこともできなくなってしまいます。
私一人だけの問題じゃなくなった今、私は生きるしかないのです。
苦しくても悲しくても、辛くても生きるしかないのです。
世知辛い世の中ですが私は今日も息してます。
どうか4月には働けますように。